団長日記

都内劇場に暗躍する喜劇団「げんこつ団」団長の日記

観劇感想 (10/13)/シンクロ少女『ファニー・ガール』

シンクロ少女『ファニー・ガール』を観たので、
自分メモとして、感想を書く。自分メモだから、観てない人には何の事やら分かりません。


否応無しにぐいっと引き込まれる、舞台と演技、そして"家族"の設定。一瞬一瞬一言一言、惹き付けながら展開する、彼等の日常。前半はまったく目が離せなかった。感覚的な部分も頭で考える部分も同時に刺激される心地よさ。ここは何なの?これは何なの?と興味を惹かれつつ、自ら茂みに入っていくようなワクワク感。

処女とゲイの夫婦もその息子も彼等を取り巻く色々な人も、まず興味深い。それが自然と興味惹かれる描き方をされるものだから、茂みの奥に綺麗な花や見た事のない葉っぱや小川などを見つけたような感覚となる。そして更にそこに分け入っていくと、この小道があの小道に繋がっているのか、この川はあの滝に繋がっているのかと、徐々に分かってくる。その発見もまた楽しい。そうして後半に入って行くに従って、その茂みの全貌が明らかになっていく。観客は知らぬ間に、その先の山に分け入っていく。

山は山だ。自然の脅威を感じるように人の脅威を感じる。あの茂みはこんな所に繋がっていたのかと驚愕する。そして木々に陽が閉ざされた鬱蒼とした森を歩かされ、やがて私は、登山道に出た。ん?登山道?
その先は結構歩きやすい登山道。ちゃんと土が敷いてあるし坂には枝で階段が。時々道しるべも置いてあるし親切。山に登るほどピクニック気分。そこに描かれているのは、重く深い思いの色々を抱えた登場人物であるのに、私はそんな感覚を覚えた。得体の知れないものの、得体が知れてしまった感じ。

惹き付けられたまま山頂まで登って感嘆出来る芝居だった。ただ個人的には後半の展開に前半ほどの惹き付けられ方はしなかった。趣味の問題も大きいかもしれない。人には、家族には、山には、もっと深い所がある、もっと得体が知れないものがある、そう思うタイプだからかと思う。充分に山は深かったし、山はしっかり登ったのだけど、最初の茂みが興味深かった分、もっと求めてしまったんだと思う。普通ならそこをピクニックさせてもらえただけで、満足するものだろうと思う。満足しろよ自分、と思った。


観劇感想 (10/11)/実弾生活12『菓子の価値観』

実弾生活12『菓子の価値観』を観たので、
自分メモとして、感想を書く。自分メモだから、観てない人には何の事やら分かりません。


洒落てる。洒落てるけど、洒落すぎてもいない。馬鹿だし下品。それでも洒落てる。ハロウィンをテーマに、小気味良いテンポで繰り出される、オムニバスコント。

最後列だったためか、最初は近いはずのステージがちょっと遠く感じた。しかし身を乗り出そうとしたものの、やがてステージの方から近づいてきてくれた。もちろん物理的にではなく感覚的に。細切れのコント集だが最後までまったく飽きなかった。
ネタ自体や演出自体は、荒々しいし馬鹿馬鹿しい。逆に、期待の持たせ方と期待への応え方や裏切り方は、小気味いいし洒落ていた。そのバランスは、結構好きなバランス。
また演者それぞれのキャラが濃過ぎないのも好きなところ。演者がそのコントのキャラとして観れる演劇的コントは基本的に好きだ。

ただ、ちょっとしたコントとしての緩さが、ちょっとしたネタの効果を、ちょっとづつ打ち消してしまっていたのが、ちょっとづつもどかしかった。"小"洒落た、"小"気味良さと、"小"気味悪さ。しかし同時にそのもどかしさは、ちょっとすればクセになりそうな感じでもあった。


観劇感想 (10/9)/コーヒーカップオーケストラ『マイホームマイホテルマイパートナーハネムーン』

コーヒーカップオーケストラ『マイホームマイホテルマイパートナーハネムーン』を観たので、
自分メモとして、感想を書く。自分メモだから、観てない人には何の事やら分かりません。


最前列だったためかノッケからのハイパワーとハイテンポにうっかり気持ちが吹き飛ばされそうになってしまったが、その風圧に負けじと踏ん張ってみると、その設定と途切れぬ展開に興味は惹き付けられ続けた。

夏の海辺の個人経営ホテル。そこに一見「幸せそうな」カップル達や家族が入り交じるも、やがてそれぞれの「幸せではない」過去や不安や実体が明らかとなる。そしてそれらが互いに巻き込まれ合い入り乱れつつ、やがてそれぞれの場所にまた戻っていく。
それは台風のようだった。序盤の強風がやがて暴風に。事態が吹き荒れている間、その登場人物たちは、その雨風に翻弄されるしかない。風に逆らう者、風に飛ばされる者、悲鳴を上げる者、びしょ濡れになる者、雨宿りする者、色々居るが、やがて台風は去る。川の氾濫や土砂崩れは起きるべくして起きたもので。台風も来るべくして来たもので。どれも誰のせいでもない。その後は、それぞれ片付けをし、日常に戻る。荒れ狂うも、爽やか。とても爽やかな芝居だった。

個人的には、その興味惹かれ続ける早い展開はそのパワーある演技もあって、うっかりするとあっという間に右から左に吹き去って、捉えきれなくなりそうだった。台風の間、風にしなり続ける木の幹に抱きつきながら、観ていたような感じがする。充分に聞こえるサイズの劇場なれど声の大きさや動きの大きさが半端ないのも、なんだか台風感を高めた。でもそれは別に不快なものではなかった。
なんだかとても、懐かしい感じがした。熱い芝居の香り、夏の台風の香り。それはやけに、懐かしかった。


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